大阪地方裁判所 昭和43年(行ウ)7号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕原告は、被告主張の日時に当該審査請求についての裁決がなされ、その頃右裁決書の謄本が原告に送達されたことを、被告は原告主張の確定申告、異議申立、棄却決定ならびに審査の請求がその主張日時になされたこと、および原告主張の期間当該裁決がなされず、裁決がなされたのは本訴提起後であることをそれぞれ認めた。
按ずるに、本訴は、被告が原告のなした審査請求に対し相当の期間を経過するも裁決をなさないことの違法確認を求めるものであるが、被告主張の日時に本件裁決がなされ、その裁決書の謄本が原告に送達されたことは当事者間に争のないところである。
所謂不作為の違法確認の訴は、行政庁が私人から法令に基づく申請あるいは不服の申立を受け、相当の期間内にこれに対する処分(裁決、決定等)その他の行為をなすべきであるにもかかわらず、これをしない場合に、その行政庁の不作為自体を訴訟の対象として、その違法であることを確認し、もつて行政の適正化(処分その他の行為が可及的にすみやかになされること)を期するとともに、右不作為により不利益を受けるものの司法上の権利救済を目的とする訴であるから、たとえ、相当期間を徒過して違法な不作為状態が現出されたとしても、その後右のごとく口頭弁論終結前に裁決がなされて、右行政庁の不作為の状態が解消した以上、原告には本件訴訟を追行し本案判決を求める訴の利益がなくなつたものと解するを相当とする。
ところで原告は予備的申立として、本件訴訟の終了宣言を求めているが、わが民事訴訟において終了宣言の認められるのは、例えば訴の取下、和解の成立、休止満了等により訴訟が終了した場合に訴訟の終了の有無につき争いのあるようなときであつて、右以外の場合においては訴訟の終了を宣言する必要がなく、その旨の規定も慣行もないのであるが、これを本件についてみるに、既に本案の請求である本位的申立が訴訟要件を欠くため却下される運命にある以上訴訟の終了は自明であり、特にかゝる宣言をなす要をみないものといわなければならない。
そこで、本件訴は却下さるべきものとし、なお、訴訟費用の負担につき考えるに、原告主張の日時に本件審査請求がなされたにもかかわらず、本訴提起当時には未だ裁決はなされておらず、その後被告主張の日時に至つて漸く裁決がなされたのであつて、右裁決がななされたため本件訴は却下されるけれども、この種裁決をなすのに通常必要と考えられる相当の期間を経過しており、本訴提起はその当時の状況から必要であつた行為と解せられ予備的申立の当否は右認定に影響を及ぼさないから民事訴訟法九〇条後段を適用して、主文のとおり判決する。(石崎甚八 仲江利政 光辻敦馬)